大腸がん | 末期がんの緩和ケア ご家族のための「在宅緩和ケア」「食事」「自宅での医療」の知識【神奈川県川崎市幸区の在宅緩和ケアクリニック】

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大腸がん

1.大腸がんの特徴

食事の欧米化により3年間で10%増加

大腸がんにかかる割合は、50歳代から増加し始め、高齢になるほど高くなります。

死亡者数は、男性では3番目、女性では1番目に多いがんです。厚生労働省の調査によると、大腸がんの総患者数は2005年に21万4000人だったのが、2008年には23万5000人と、3年間で10%程増加しています。

腸は第2の脳ともいわれています。研究の進歩により、腸が、ヒトの体を守っているリンパ球の60パーセントが集まる「ヒトの体で最大のリンパ組織、免疫組織」であることがわかっています。また、生体内「ヒトの体で最大のホルモン産生」をしていることが示されました。

大腸の役割は、食物が消化吸収された残りの腸内容物を貯め、水分を吸収して大便にする器官です。大腸菌や乳酸菌などの500〜1000種類の腸内細菌が存在しており、食物繊維の分解や感染予防の働きなどをしています。

早期であれば、ほぼ100%治癒します

大腸がんの発生する部位によって、「結腸がん」と「直腸がん」の2つに分類されます。日本人は以前、直腸がんが多かったのですが、食事の欧米化によって、結腸がんが増えてきています。

ほとんどの大腸がんは、良性ポリープから発生することが多いのですが、大腸粘膜から直接発生することもわかってきました。また、がんの発生に遺伝的要素がかかわる遺伝性大腸がんもあります。

早期の大腸がんの場合、自覚症状はほとんどありません。大腸がんにかかる人は40歳から年を重ねるにつれて増えていることがわかります。早期に発見すれば、ほぼ100パーセント、治癒することができるものです。早期発見のために、40歳以上の方は定期的に検診を受けることをおすすめしています。

2.大腸がんの発生原因

大腸がんになってしまった原因

大腸がんになると、「なにが原因でがんになったのだろう?」と多くの方が自分の人生を深く見つめ直すきっかけになります。

しかし、なぜ大腸がんになったのかは、実はだれにも分かりません。危険な因子がなくてもがんになりますし、どんなに危険な因子が多くあっても、がんにならない人もたくさんいるのも事実です。直系の親族に同じ病気の人がいるという家族歴もリスク要因になることがわかっています。

危険因子をとりのぞいて再発リスクを減らす体内環境をつくる

ここで大切なのは、危険因子がもしあれば、生活からそれをとりのぞくことです。「生活を変える」「意識を変える」「自分を変える」。自分が変われば大腸がんが再発しにくい、あるいは転移しにくい体内環境をつくることにつながります。

ではここで、変えるための5つのポイントをご紹介しましょう。

1.肥満に気をつける。

体脂肪、腹部肥満(メタボリックシンドローム)は確実な危険因子です。

2.飲酒や喫煙の習慣をやめる。

日本男性の大腸がんの約半数を占める原因ともいわれています。 

3.肉類(牛、豚、羊など)を控える。

食事で確実なリスク要因は、牛、豚、羊などの赤肉、ベーコン、ハム、ソーセージなどの加工肉です。

4.食物繊維(いも類、根菜類、海藻類)を積極的にとる。

他にも、ニンニク、牛乳、カルシウムが予防的に働く可能性が高いとされています。

5.不安やストレス、心配事をだれかに話す。

ストレスは免疫力を低下させることがわかっています。ストレスを溜め込まず、だれかに「話す」(=放す)ことで、執着から解放されて自分から手放すことができます。わたしはいつでもあなたのお話を聞く準備はできています。

3.症状と検査の方法

初期症状

・血便(血液が混じった便)が出る
・下血(げけつ:肛門からの出血)が起きる
・便が細くなる
・下痢と便秘を繰り返す
・便が残っている感じがする
・腹痛 
・お腹が張っている感じ(ガスの滞留)
・体重が減った(3か月間に5〜6キロ程度)
・さわるとお腹にコブのようなものがある
・貧血
・食欲不振

検査方法

ステップ1 問診

問診では、ていねいにお話をうかがっていきます。次のような質問がありますので、受診前にまとめておくとよいでしょう。問診のあと、いくつかの検査の予定や次の診察日が決まります。

・下痢、便秘、血便はないか? いつから症状があらわれたか?
・他の病院を受診したか、治療を受けてきたか、先生の診断は?
・今までに入院するような病気になったか、手術を受けたことがあるか、内服している薬はあるか?
・アレルギー体質かどうか?
・血縁関係の人に大腸がん体験者やその他のがんの治療経験があるか?

ステップ2 検査と診断

一般的に身体への負担の少ない以下の2つの検査から始められます。
1.便潜血検査
便を採取して、化学検査で便の中の血液の混入を検査します。公費の補助の受けられます。陽性と出ても、すぐに大腸がんであるというわけではありません。

2.触診・直腸肛門指診検査
ゴムをはめた指で、直腸や肛門を触診します。全直腸がんの65〜70パーセントは発見することができます。

ステップ3 確定診断

1.直腸鏡検査
直径2センチ、長さ20〜30センチほどの円筒状の内視鏡を挿入して、直腸全体とS字結腸の一部を内視鏡で直接観察します。全大腸がんの60パーセント以上の発見が可能といわれています。

2.注腸バリウム検査(注腸造影検査)
肛門から大腸内にバリウムを注入して、腸全体のX線造影をおこないます。直腸、結腸にあるすべての大腸がんや5ミリ以下の小さなポリープまで発見できるようになりました。ただし、確定診断をくだすには、病変の組織を採取して調べる必要があります。

3.内視鏡検査
大腸ファイバースコープともいいます。外来ででき、検査する人は内視鏡内に写された画面を見ながら、医師の説明を受けることができます。ポリープの切除も可能です。ただし、確定診断をくだすには、病変の組織を採取して調べる必要があります。

ステップ4 ステージの確定と治療方針の決定

病期は、ステージ0からステージ4までの5段階に分類されます。主な治療法として、内視鏡治療、外科手術、化学療法、放射線療法などがあります。これらを組み合わせ、どのように治療するのかは、患者さんの状態や、がんの進行度などによって決められます。

医師は患者さんとよく話しあいながら、今後どの治療法がもっとも適切かを提案し決定していく、というのが一般的な流れです。

検査における患者さんへのアドバイス

疑問・不安を解消することで、患者と医師の“信頼関係”は築かれる

たくさん行われる検査に、不安を感じられる方も多いことでしょう。もし、不安があれば、遠慮せず、担当医師に次のように医師に質問してみましょう。

「いま、なにを調べるための検査なのですか?」
「その検査は、本当にやる必要はあるのですか?」
「自分はいまどのステージですか?」
「今後、どのような治療をしていくのがベストですか?」
「QOL(生活の質)をなるべく落とさない治療法はどれですか?」

ご自分から、積極的に質問していきましょう。このような会話を交わすことで、おたがいに“信頼関係”を築くことができます。「安心して治療に向きあえる」という土台づくりこそが、胃がんに負けないファーストステップです。

4.大腸がんでおこなう主な治療法について

大腸がんの治療は主に、内視鏡治療・腹腔鏡下手術、外科手術、化学療法、放射線療です。

①内視鏡治療

早期の大腸がんの中でも、ステージ0と、ステージ1でも粘膜下層の浅いところにとどまっている軽度浸潤に適用されます。小型カメラとライトが付いた、細長い管状の形をした手術器具を肛門から入れて、大腸の内部をモニター画面に映し出すことができます。外来でできる場合と数日間の入院が必要な場合があります。

●メリット

・体への負担が少なく、大腸の機能が損なわれない。

②外科手術

ステージ1でも粘膜下層に深く入り込んでいる場合(深部浸潤)です。大腸のまわりのリンパ節に転移している可能性があれば、がんのある大腸とリンパ節を切り取ることがあります(リンパ節郭清)。

術後、再発を防ぐために抗がん剤を使用する術後補助化学療法(アジュバント療法)や放射線治療が併用されることもあります。

③緩和手術

「palliative operation」といって、日本語にすると「姑息手術」といわれるものです。これは、姑息な(卑怯な)手術法ではなく、医師によって「緩和手術」(痛みを和らげるための手術)という言葉を使う人もいます。
完治するのはむずかしいけれど、家族と一緒にすごせる時間を増やし、患者さんの痛みを少なくすることを目的にした手術です。

●メリット

・がん細胞を取り除くことによって、再発や転移を防ぐ効果が期待できます。

④薬物療法(抗がん剤治療)

「抗がん剤は毒だ。医者の金儲けのために患者は利用されている」といった話がまことしやかに語られています。抗がん剤を使用中は、一時的に免疫力は落ちますが、治療後は体力は徐々に回復するので、けっしておそれるものではありません。

治療の目的は、術前化学療法、術後化学療法、遠隔転移に転移があるとき、または転移がなくても再発する可能性が高いとき、再発してしまったときの治療法としておこないます。また、手術ができるがんに対して薬物療法を行い、できるだけ小さくしてから手術にのぞむ場合もあります。

錠剤やカプセルなどの「のみ薬」と、「点滴や注射などで血管(静脈)に直接抗がん剤を注入する方法」があります。薬物療法には、以下の2つの種類があります。

1.化学療法:化学物質によってがんの増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療。
2.分子標的治療:分子レベルでがん細胞だけを標的にした薬を用いて行う治療。

●メリット

・転移があっても、がん細胞の増殖を抑えて攻撃できる。
・入院せず外来での治療もできる。

●副作用

薬の種類によって重篤な下痢をおこすものやアレルギーがある人には向かない薬ものあります。薬物療法は、正常な細胞も攻撃することになるので、薬物有害反応(いわゆる副作用)が生じることがあります。

血液細胞が減ったり、口の中や胃腸の粘膜の再生が起こりにくくなったり、髪の毛や爪が伸びなくなったり、風邪をひきやすくなったり、貧血、吐き気、口内炎、脱毛など。女性ならば、将来的に妊娠・出産を希望するときは、まえもって担当医に相談しておくことが大切です。

しかし、近年では副作用に対する治療(支持療法ともいわれています)が、かなり進歩してきています。担当医に「副作用の症状を軽減させるための治療はありますか?」と相談してみましょう。注射(点滴)薬と内服(経口)薬があります。

5.大腸がんについてのデータ

手術後ケア(定期検診の頻度)

一般的に、術後3年間は、3か月〜半年ごとに診察をおこない、3年目以降は、約半年に1度、その後の様子をていねいにお話をうかがいます。内視鏡検査、半年後に採血、胸部X線、腹部超音波などの検査をおこないます。

⚫️大腸がん患者の男女比  5:4 
⚫️日本人の大腸がん発症率 毎年10万人(肺がんは5万人)

⚫️大腸がんで死亡する人 年間約5万人(肺がんは7万人)

⚫️病期別5年生存率
0期 ほぼ100パーセント
1期 約90パーセント
2期 約80パーセント
3期 約65パーセント
4期 約15パーセント(がん研究振興財団編「がんの統計1999」)

⚫️再発率 
大腸がんは再発率が高いことで知られています。再発する時期は、治療後5年以内が9割以上(2年以内がもっとも多い)
病期1 約4パーセント
病期2 13パーセント
病期3 30パーセント

⚫️よくある大腸がんの後遺症
開腹手術後は、腸と腸、腸と腹壁などが癒着しやすく、食物の通過が悪くなり、腹部膨満感や嘔気が起こります。直腸がんの手術後は、排便機能障害(下痢便、頻便、便意頻回、便失禁、便秘など)、排尿機能障害、性機能障害。

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